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film/video exhibition
"Films - DAZER IN TOKYO"
2022.4.29 (Fri) - 5.8 (Sun)
12:00 - 20:00
One day ticket: ¥1,000
Venue:Feb gallery Tokyo
5.3 (Tue) 18:00
[TALK SESSION] by
Sakumi Hagiwara and Junya Yamamine
猫と少年
ドナルド・リチー/5 分/16mm/1967
そもそもはコダックの新しいカラー・フィルムのテストとして撮影された。「しかし、テストどころか、サウンドをつけると、小さな1本の映画作品に見えた」(ドナルド・リチー)。コダクロームのカラー・フィルムに白黒現像処理を施して完成。横たわる青年の妄想が、夏の午後の陽射しのなかで、化学合成してフィルムに焼き付いたかのような奇跡的ともいえるチャーミングな映像詩に仕上がっている。
[ドナルド・リチー]
1924年アメリカ合衆国オハイオ州に生まれる。少年期より映画に関心を持ち、41年には最初の8ミリ作品を制作。46年に来日し、スター・アンド・ストライプ紙の映画評を47年から49年まで担当、その後ジャパン・タイムズ紙の映画評を続けた。欧米への日本映画の紹介に尽力し、『小津安二郎の美学』、『黒澤明の映画』などの研究書を著している。一方で個人映画、実験映画の制作を続け、胎動期にあった日本の実験映画界をリードした。2013年没。
そもそもはコダックの新しいカラー・フィルムのテストとして撮影された。「しかし、テストどころか、サウンドをつけると、小さな1本の映画作品に見えた」(ドナルド・リチー)。コダクロームのカラー・フィルムに白黒現像処理を施して完成。横たわる青年の妄想が、夏の午後の陽射しのなかで、化学合成してフィルムに焼き付いたかのような奇跡的ともいえるチャーミングな映像詩に仕上がっている。
[ドナルド・リチー]
1924年アメリカ合衆国オハイオ州に生まれる。少年期より映画に関心を持ち、41年には最初の8ミリ作品を制作。46年に来日し、スター・アンド・ストライプ紙の映画評を47年から49年まで担当、その後ジャパン・タイムズ紙の映画評を続けた。欧米への日本映画の紹介に尽力し、『小津安二郎の美学』、『黒澤明の映画』などの研究書を著している。一方で個人映画、実験映画の制作を続け、胎動期にあった日本の実験映画界をリードした。2013年没。
檻囚
寺山修司/11 分/16mm/1962-69
現存する寺山修司の最古の映画作品。男が地獄の門を開けるところ、肉体を誇示するボディビルダー、柱時計を持った「大山デブ子」、女とヤギなど、寺山修司の短歌や演劇作品にも共通する様々なモチーフを駆使した断片的なイメージが、夢を見ているかのように繰り広げられる。1962年に撮影された後、萩原朔美によって1969年に編集されて完成した。
[寺山修司]
1935年生まれ。詩人、劇作家、演出家。歌人としてデビューした後、シナリオ執筆、エッセイ、小説、演劇実験室「天井桟敷」の結成などマルチクリエイターとして活躍。映画・映像の分野でも『檻囚』(62)、『トマトケチャップ皇帝』(71)など実験映画を多数制作した他、『書を捨てよ町へ出よう』(71)、『田園に死す』(74)などの劇映画も手がけた。1983年没。
現存する寺山修司の最古の映画作品。男が地獄の門を開けるところ、肉体を誇示するボディビルダー、柱時計を持った「大山デブ子」、女とヤギなど、寺山修司の短歌や演劇作品にも共通する様々なモチーフを駆使した断片的なイメージが、夢を見ているかのように繰り広げられる。1962年に撮影された後、萩原朔美によって1969年に編集されて完成した。
[寺山修司]
1935年生まれ。詩人、劇作家、演出家。歌人としてデビューした後、シナリオ執筆、エッセイ、小説、演劇実験室「天井桟敷」の結成などマルチクリエイターとして活躍。映画・映像の分野でも『檻囚』(62)、『トマトケチャップ皇帝』(71)など実験映画を多数制作した他、『書を捨てよ町へ出よう』(71)、『田園に死す』(74)などの劇映画も手がけた。1983年没。
DRAMA
萩原朔美/3 分/16mm/1974
身近なものにもそれぞれのドラマがある。ドアのノブを様々な人が握り、通過していく様が、まるで一つの人生のように鮮やかに描かれている。事物の持つ時間をワンショットで捉えるこの作家独自の視点が、3分間の中に見事に結実。
[萩原朔美]
1946年生まれ。映像作家、演出家。寺山修司が主催した劇団「天井桟敷」の演出部に籍を置いた20年代前半から創作を開始する。70年代以降は、ビデオ、映画をはじめ版画、写真など分野を越えた様々なメディア探求を行なう。主な映画作品に、『TIME』(71)、『KIRI』 (72)、かわなかのぶひろとの『映像書簡』シリーズ(79 〜10)、『キライズム』(08)、『左からやってくるもの』(16)など。
身近なものにもそれぞれのドラマがある。ドアのノブを様々な人が握り、通過していく様が、まるで一つの人生のように鮮やかに描かれている。事物の持つ時間をワンショットで捉えるこの作家独自の視点が、3分間の中に見事に結実。
[萩原朔美]
1946年生まれ。映像作家、演出家。寺山修司が主催した劇団「天井桟敷」の演出部に籍を置いた20年代前半から創作を開始する。70年代以降は、ビデオ、映画をはじめ版画、写真など分野を越えた様々なメディア探求を行なう。主な映画作品に、『TIME』(71)、『KIRI』 (72)、かわなかのぶひろとの『映像書簡』シリーズ(79 〜10)、『キライズム』(08)、『左からやってくるもの』(16)など。
観測概念
山崎博/10 分/16mm/1975
空に弧を描いて28個の太陽が並んでいく(画面上に映っているのは27個)。多重露光を駆使して時間を視覚化したコンセプチュアルな映像作品。シンプルな構成ながら、高度な写真テクニックを応用した視覚効果がいまなお観客に強烈なインパクトを与える。
[山崎博]
1946年生まれ。日大芸術学部写真学科で写真を学ぶ。「水平線採集」など、定点観測と長時間露光などの写真テクニックを組み合わせたコンセプチュアルな作風の写真家として知られる。映画作品もカメラやフィルムの原理を使って、自然の動きを映像ならではの表現で描く作品が多い。2017年没。主な作品に『FIX』(72)、『ヘリオグラフィー』(79)、『櫻』(89)など。
空に弧を描いて28個の太陽が並んでいく(画面上に映っているのは27個)。多重露光を駆使して時間を視覚化したコンセプチュアルな映像作品。シンプルな構成ながら、高度な写真テクニックを応用した視覚効果がいまなお観客に強烈なインパクトを与える。
[山崎博]
1946年生まれ。日大芸術学部写真学科で写真を学ぶ。「水平線採集」など、定点観測と長時間露光などの写真テクニックを組み合わせたコンセプチュアルな作風の写真家として知られる。映画作品もカメラやフィルムの原理を使って、自然の動きを映像ならではの表現で描く作品が多い。2017年没。主な作品に『FIX』(72)、『ヘリオグラフィー』(79)、『櫻』(89)など。
MODEL
手塚眞/8 分/16mm/1987
"写真とコピーを使ったアニメーション。左右にダブル・イメージで流れる女性の顔が目まぐるしく変質してゆく。海外にも広く紹介された代表的な実験映画。
1つの映像モデルから派生するイメージの集合がさらに別の映像になる。この2つの映像が融合したり分離したりすることでまた新たなイメージが形成される。意識の流れが映像の流れにかみ合うこともあれば、かみ合わぬ場合もある。映像イメージの形成はしかし数学的ではなく、個人の情感により差異を生ずる。この差異が表層的な画像に意味を持たせる。"
[手塚眞]
1961年東京生まれ。ヴィジュアリスト。長編劇場映画から実験的な短編、アニメーションやドキュメンタリーなど映像全般に活動を展開している。主な作品に『星くず兄弟の伝説』(85)、『MODEL』(87)、『白痴』(99)、『ばるぼら』(19)、『MIND THE GAP』(21)など。
"写真とコピーを使ったアニメーション。左右にダブル・イメージで流れる女性の顔が目まぐるしく変質してゆく。海外にも広く紹介された代表的な実験映画。
1つの映像モデルから派生するイメージの集合がさらに別の映像になる。この2つの映像が融合したり分離したりすることでまた新たなイメージが形成される。意識の流れが映像の流れにかみ合うこともあれば、かみ合わぬ場合もある。映像イメージの形成はしかし数学的ではなく、個人の情感により差異を生ずる。この差異が表層的な画像に意味を持たせる。"
[手塚眞]
1961年東京生まれ。ヴィジュアリスト。長編劇場映画から実験的な短編、アニメーションやドキュメンタリーなど映像全般に活動を展開している。主な作品に『星くず兄弟の伝説』(85)、『MODEL』(87)、『白痴』(99)、『ばるぼら』(19)、『MIND THE GAP』(21)など。
いどうだいすき
芹沢洋一郎/23 分/8mm/1991
テーマは「移動撮影」。「移動」の面白さは「何かに近づいていく事」と「何かから遠ざかっていく事」が同時に起きることだ。人の目(カメラのレンズ)は前向きにしか付いてないのでこのことには気づきにくい。そこで一組の男女にカメラを持たせ、一台の自転車に反対向きに乗せて撮影することにした。前進移動ゆえに見えてくる何か、後退移動ゆえに見えてくる何かがあるはずだと期待しつつ。理想としていた「イキモノみたいな映画」を少しだけ感じることができた。
[芹沢洋一郎]
1963年生。17歳で初めて制作した『まじかよ?』がPFF81入選。その後流血映画を数年撮り続けたのち、ロベールブレッソンと奥山順市から「主題と手法の一致」を学び『ウゴクナ!』(88)から作風を転向。『間男』(89)でIFF90フィルムオリジナリティ賞、『殺人キャメラ』(96)でサンフランシスコ国際映画祭ニューヴィジョン賞。2016年に20年ぶりの新作『サヴァイヴァル5+3』を発表しIFF2017観客賞受賞。
テーマは「移動撮影」。「移動」の面白さは「何かに近づいていく事」と「何かから遠ざかっていく事」が同時に起きることだ。人の目(カメラのレンズ)は前向きにしか付いてないのでこのことには気づきにくい。そこで一組の男女にカメラを持たせ、一台の自転車に反対向きに乗せて撮影することにした。前進移動ゆえに見えてくる何か、後退移動ゆえに見えてくる何かがあるはずだと期待しつつ。理想としていた「イキモノみたいな映画」を少しだけ感じることができた。
[芹沢洋一郎]
1963年生。17歳で初めて制作した『まじかよ?』がPFF81入選。その後流血映画を数年撮り続けたのち、ロベールブレッソンと奥山順市から「主題と手法の一致」を学び『ウゴクナ!』(88)から作風を転向。『間男』(89)でIFF90フィルムオリジナリティ賞、『殺人キャメラ』(96)でサンフランシスコ国際映画祭ニューヴィジョン賞。2016年に20年ぶりの新作『サヴァイヴァル5+3』を発表しIFF2017観客賞受賞。
相対位置
五島一浩/11 分/デジタル/2012
移動する電車の窓から、並走する別の編成を観察する。電車はそれぞれ決まった軌道の上を走っているのだが、その動きは渦に揉まれているかのように予想できない。それまで、何か大きな系(地球?)に乗って安定した軌跡を描いていたはずの私の運動ベクトルは、手がかりを失って狂い始める。移動しているのは私なのか、世界なのか。
[五島一浩]
1969年生まれ。視覚・映画原理を再構築する映像作品、インスタレーションを制作する。代表作に、特殊立体映像『SHADOWLAND』(13)、コマのない動画カメラシステム『これは映画ではないらしい』(14)等がある。
移動する電車の窓から、並走する別の編成を観察する。電車はそれぞれ決まった軌道の上を走っているのだが、その動きは渦に揉まれているかのように予想できない。それまで、何か大きな系(地球?)に乗って安定した軌跡を描いていたはずの私の運動ベクトルは、手がかりを失って狂い始める。移動しているのは私なのか、世界なのか。
[五島一浩]
1969年生まれ。視覚・映画原理を再構築する映像作品、インスタレーションを制作する。代表作に、特殊立体映像『SHADOWLAND』(13)、コマのない動画カメラシステム『これは映画ではないらしい』(14)等がある。
Camouflage
佐藤優香/7 分/デジタル/2017
冒頭のダンサーの振付は、やがて写真の粒子のなかに埋没される。群衆のなかの彼女の身体。フィルムの肌理(きめ)の美しさに心地よく陶酔することもできる一方で、唐突に挿入される誰かの部屋の短い俯瞰のワンショットが目に焼きつく。観客に与える見る時間の絶対性から発想し、緩慢と瞬間を巧妙に配置することで映像の本質を探っていく意欲作。
[佐藤優香]
"2014年より映像制作を開始。女性の生き方に焦点を当てた作品群は、エジンバラ国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画祭ほか、国内外で多数上映されている。また、2019年に映像のキュレーション活動を開始。主な企画にPlace M Film Festival (2019年、2021年・東京)、 dv_vd Crossing Boundaries Between Photo and Film (2021年・モントリオール) などがある。2021年には写真展「Birthday」を開催。写真と映像の境界を探り続けている。
https://www.yukasatofilm.com"
冒頭のダンサーの振付は、やがて写真の粒子のなかに埋没される。群衆のなかの彼女の身体。フィルムの肌理(きめ)の美しさに心地よく陶酔することもできる一方で、唐突に挿入される誰かの部屋の短い俯瞰のワンショットが目に焼きつく。観客に与える見る時間の絶対性から発想し、緩慢と瞬間を巧妙に配置することで映像の本質を探っていく意欲作。
[佐藤優香]
"2014年より映像制作を開始。女性の生き方に焦点を当てた作品群は、エジンバラ国際映画祭、オーバーハウゼン国際短編映画祭ほか、国内外で多数上映されている。また、2019年に映像のキュレーション活動を開始。主な企画にPlace M Film Festival (2019年、2021年・東京)、 dv_vd Crossing Boundaries Between Photo and Film (2021年・モントリオール) などがある。2021年には写真展「Birthday」を開催。写真と映像の境界を探り続けている。
https://www.yukasatofilm.com"
ホモソーシャルダンス
東海林毅/11 分/デジタル/2019
一人の女性をめぐる男たちの反目と連帯から浮かび上がるミソジニー(女性嫌悪)。男性社会の持つホモソーシャリティというテーマをコンテンポラリーダンスで表現した野心作。
[東海林毅]
大学在学中から映像制作を開始し映画監督、映像演出のほかVFXアーティストとしても幅広く活動中。2021年に映画『片袖の魚』を公開した。
一人の女性をめぐる男たちの反目と連帯から浮かび上がるミソジニー(女性嫌悪)。男性社会の持つホモソーシャリティというテーマをコンテンポラリーダンスで表現した野心作。
[東海林毅]
大学在学中から映像制作を開始し映画監督、映像演出のほかVFXアーティストとしても幅広く活動中。2021年に映画『片袖の魚』を公開した。
浮寝島
安永佳織/13 分/デジタル/2021
これは失われたものたちの物語です。
失われたもの、失われつつあるもの、失われるであろうもの。
遠い昔に失われたもの、昨日失われたもの、今夜失われつつあり明日の朝までにはすっかり失われてしまうもの。
あなたが失ったもの、私が失いつつあるもの。
けれどこの物語の中では何も終わりません。
これは失われたものたちの物語であり、ものを失うことについての物語ではありません。
[安永佳織]
1998年東京生まれ。米国で実写映画、アニメーション制作を勉強した後、現在再び東京に拠点を置き、主にビデオアーティストとして活動している。今ここに存在していないもの全ての亡霊、それに恒久的な形を与える手段としての映像、そして映像というミディアム自体の亡霊的特質に着目し、作品制作を行う。
これは失われたものたちの物語です。
失われたもの、失われつつあるもの、失われるであろうもの。
遠い昔に失われたもの、昨日失われたもの、今夜失われつつあり明日の朝までにはすっかり失われてしまうもの。
あなたが失ったもの、私が失いつつあるもの。
けれどこの物語の中では何も終わりません。
これは失われたものたちの物語であり、ものを失うことについての物語ではありません。
[安永佳織]
1998年東京生まれ。米国で実写映画、アニメーション制作を勉強した後、現在再び東京に拠点を置き、主にビデオアーティストとして活動している。今ここに存在していないもの全ての亡霊、それに恒久的な形を与える手段としての映像、そして映像というミディアム自体の亡霊的特質に着目し、作品制作を行う。
揺覚=Y ou-Kaku
立川清志楼/8 分/デジタル/2022
秩序のあとに無秩序が起きる、その逆か?これは宇宙の原理である。しかし秩序と無秩序は同時に進行している。2つは分断されない。
この状態が実験映像であり、2つのバランスこそ作品の生命だ。どちらか一方では成立しない。
固定カメラで撮影した映像に時間差でレイヤーを作成、重層化した。揺らめく表層と音響が交差する連続の時間、これは視覚と聴覚の変容を体感する作品である。
[立川清志楼]
写真家・映像作家。東京在住。
主に動物園を撮影した映像に実験的要素を用いた編集を施し、物語性を排除した物質的な映像作品を制作している。
現在、2020年7月から始まった実験映像プロジェクト「第一次三カ年計画」を遂行中。
「写真新世紀2020年度優秀賞」(オノデラユキ選)、「写真新世紀2019年度佳作」(安村崇選)受賞。
秩序のあとに無秩序が起きる、その逆か?これは宇宙の原理である。しかし秩序と無秩序は同時に進行している。2つは分断されない。
この状態が実験映像であり、2つのバランスこそ作品の生命だ。どちらか一方では成立しない。
固定カメラで撮影した映像に時間差でレイヤーを作成、重層化した。揺らめく表層と音響が交差する連続の時間、これは視覚と聴覚の変容を体感する作品である。
[立川清志楼]
写真家・映像作家。東京在住。
主に動物園を撮影した映像に実験的要素を用いた編集を施し、物語性を排除した物質的な映像作品を制作している。
現在、2020年7月から始まった実験映像プロジェクト「第一次三カ年計画」を遂行中。
「写真新世紀2020年度優秀賞」(オノデラユキ選)、「写真新世紀2019年度佳作」(安村崇選)受賞。
犬死のトレーニング
トモトシ/15 分/デジタル/2021
飼い主の買物が終わるのを待つ犬の横で、着ぐるみ姿のトモトシが一緒に待つ。帰ってきた飼い主に愛想を振りまいたところで、着ぐるみの犬を連れて帰ってはくれない。トモトシは虚しくその場に倒れ込む。明日にも孤独に倒れる──犬死が日常のこととなってしまった時代における、ささやかな訓練としてこの滑稽な試みを繰り返した。黄金町バザール2021出品作品。
[トモトシ]
2007年に大学を卒業後、10年にわたって建築設計・都市計画に携わる。2014年より映像インスタレーション作品を発表。「人の動きを意識的に変化させるアクション」をテーマに、都市空間を舞台として制作している。
飼い主の買物が終わるのを待つ犬の横で、着ぐるみ姿のトモトシが一緒に待つ。帰ってきた飼い主に愛想を振りまいたところで、着ぐるみの犬を連れて帰ってはくれない。トモトシは虚しくその場に倒れ込む。明日にも孤独に倒れる──犬死が日常のこととなってしまった時代における、ささやかな訓練としてこの滑稽な試みを繰り返した。黄金町バザール2021出品作品。
[トモトシ]
2007年に大学を卒業後、10年にわたって建築設計・都市計画に携わる。2014年より映像インスタレーション作品を発表。「人の動きを意識的に変化させるアクション」をテーマに、都市空間を舞台として制作している。
食台
利部志穂/6 分/デジタル/2020
目の前にある物に、反応し対峙する。何かが立ち現れる手前の時を、繋ぎ合わせて。
現在性。失われた身体を取り戻す。キラキラとした瞬間に立ち合う。
「A Tavola!ー 食事の準備ができたよ。集まって!」
細やかな、奇跡の訪れを求めて。見逃さないように。
鮮やかな色彩と、触覚、匂い、五感の映像化。物語から、音となった言葉たち
[利部志穂]
1981年神奈川県生まれ。道端で打ち捨てられた物や都市生活における廃棄物、建築資材など、様々なものを解体し、組み合わせることで新たな関係性をつくり出す。インスタレーションをはじめ、映像、絵画、写真、パフォーマンス、詩、小説など多様なメディアにて国内外で作品発表を行う。2017年より文化庁在外派遣研修員として2年間イタリア・ミラノに滞在。現在は東京を拠点に制作活動を行う。
目の前にある物に、反応し対峙する。何かが立ち現れる手前の時を、繋ぎ合わせて。
現在性。失われた身体を取り戻す。キラキラとした瞬間に立ち合う。
「A Tavola!ー 食事の準備ができたよ。集まって!」
細やかな、奇跡の訪れを求めて。見逃さないように。
鮮やかな色彩と、触覚、匂い、五感の映像化。物語から、音となった言葉たち
[利部志穂]
1981年神奈川県生まれ。道端で打ち捨てられた物や都市生活における廃棄物、建築資材など、様々なものを解体し、組み合わせることで新たな関係性をつくり出す。インスタレーションをはじめ、映像、絵画、写真、パフォーマンス、詩、小説など多様なメディアにて国内外で作品発表を行う。2017年より文化庁在外派遣研修員として2年間イタリア・ミラノに滞在。現在は東京を拠点に制作活動を行う。
ALIEN COME BACK TO THE SEA.
HOMURA Yoshikazu/8 分/デジタル/2017
故郷に台本なし。真夏のフリーシネマ。
あらすじ:海辺の街のストレンジャー。やつの涙はすべて海に流れた。やつの心は太陽に焼き尽くされた。ゾンビのように生きるストレンジャー。
やつの身体は見事にビルドアップされていた。
[HOMURA Yoshikazu]
山口県出身、大阪芸術大学映像学科卒。卒業制作として映画『CME,that’s why we bring dogs.』を制作。同作の主な上映に2014年「YCAM10th FILM by MUSIC」(坂本龍一氏選)、2015年「三軒茶屋映像カーニバル」(松井良彦氏選)など。
2018年、個展「New Cinema Parallel - A Pieace of HOMURA Yoshikazu」にて、映画監督の空間インスタレーション作品としてアーケードゲーム機と接続した映画『NCP720』を発表。2020年、webドラマ作品『ゆれるせいかつ』を公開。
故郷に台本なし。真夏のフリーシネマ。
あらすじ:海辺の街のストレンジャー。やつの涙はすべて海に流れた。やつの心は太陽に焼き尽くされた。ゾンビのように生きるストレンジャー。
やつの身体は見事にビルドアップされていた。
[HOMURA Yoshikazu]
山口県出身、大阪芸術大学映像学科卒。卒業制作として映画『CME,that’s why we bring dogs.』を制作。同作の主な上映に2014年「YCAM10th FILM by MUSIC」(坂本龍一氏選)、2015年「三軒茶屋映像カーニバル」(松井良彦氏選)など。
2018年、個展「New Cinema Parallel - A Pieace of HOMURA Yoshikazu」にて、映画監督の空間インスタレーション作品としてアーケードゲーム機と接続した映画『NCP720』を発表。2020年、webドラマ作品『ゆれるせいかつ』を公開。
Ura Ura
中尾一平/11分/デジタル/2022
小さな亀が天井に張り付いている夢を見た。足をジタバタさせながら背中の甲羅を地面に向けて歩いていた。裏と裏、表と表が向かい合っている。
東京にいると裏表とか黒白とかどちらか選ばなくちゃいけないような気になるけど、どちらでもいたくない。亀みたいに重い甲羅を背負って縛られていても曖昧であり続けたい。
[中尾一平]
2001年生まれ。自身の観た「夢」と戯れることを目指し、無意識下で撮影された風景の揺れやノイズたちから現れる身体性に着目して創作活動を行っている。「UGO」のメンバー。「水出しステーキ」としての活動では新大久保UGOにて「成人式」がある。主な展覧会に「We (You) Are Beautiful!」、「UGOのロードモデル vol.0」、「居場所はどこにある?」(2021年、東京)など。
小さな亀が天井に張り付いている夢を見た。足をジタバタさせながら背中の甲羅を地面に向けて歩いていた。裏と裏、表と表が向かい合っている。
東京にいると裏表とか黒白とかどちらか選ばなくちゃいけないような気になるけど、どちらでもいたくない。亀みたいに重い甲羅を背負って縛られていても曖昧であり続けたい。
[中尾一平]
2001年生まれ。自身の観た「夢」と戯れることを目指し、無意識下で撮影された風景の揺れやノイズたちから現れる身体性に着目して創作活動を行っている。「UGO」のメンバー。「水出しステーキ」としての活動では新大久保UGOにて「成人式」がある。主な展覧会に「We (You) Are Beautiful!」、「UGOのロードモデル vol.0」、「居場所はどこにある?」(2021年、東京)など。
続・戦争映画
門脇健路/10 分/8mm/2002
冷戦後期の子どもの頃に、あの美しい世界滅亡を描いた『風が吹くとき』を見なかったら
映像に興味を持つこともなかったのじゃないかしらと思えてくるのですが、そういう破滅を描くということで
10本くらい作ろうとしたものの、1本で終わりました。
[門脇健路]
1979年生まれ。会社員。2003年頃からイメージフォーラム勤務。
冷戦後期の子どもの頃に、あの美しい世界滅亡を描いた『風が吹くとき』を見なかったら
映像に興味を持つこともなかったのじゃないかしらと思えてくるのですが、そういう破滅を描くということで
10本くらい作ろうとしたものの、1本で終わりました。
[門脇健路]
1979年生まれ。会社員。2003年頃からイメージフォーラム勤務。
めくるめく大地
赤堀香菜/12 分/デジタル/2019
そのときすべての時間は浸透した。あとにのこった皮膚をめくって1枚、2枚。行きつ戻りつ、破って貼って、表裏も忘れてしずかに踊り続ける大地。わたしはただ物質的身体として息をしながら、個々の身体と不可分な時間について考え続けていた。すべての表面=皮膚=大地をつぶさに観察した、8年目の個人的思案。
[赤堀香菜]
イメージフォーラム映像研究所第42期修了
そのときすべての時間は浸透した。あとにのこった皮膚をめくって1枚、2枚。行きつ戻りつ、破って貼って、表裏も忘れてしずかに踊り続ける大地。わたしはただ物質的身体として息をしながら、個々の身体と不可分な時間について考え続けていた。すべての表面=皮膚=大地をつぶさに観察した、8年目の個人的思案。
[赤堀香菜]
イメージフォーラム映像研究所第42期修了
A MIRACULOUS ENCOUNTER
Johnny HUNG/16 分/デジタル/2017
列車が走る軌跡は単一である。永遠に他の列車とかぶることはない。これは、まるで2本の平行線でずっと伸ばしても、互いに交渉することはない。永遠に出会うこともない平行線のはずだった風景が出会ったら、どうなるだろう。今ここで、出会わせる。
[Johnny HUNG]
香港生まれで大学時代は日本で過ごしていた。ダダイズムに憧れ、テーマとして作品を創作している。主に無作為で実験映像を制作している。
列車が走る軌跡は単一である。永遠に他の列車とかぶることはない。これは、まるで2本の平行線でずっと伸ばしても、互いに交渉することはない。永遠に出会うこともない平行線のはずだった風景が出会ったら、どうなるだろう。今ここで、出会わせる。
[Johnny HUNG]
香港生まれで大学時代は日本で過ごしていた。ダダイズムに憧れ、テーマとして作品を創作している。主に無作為で実験映像を制作している。
生後睡眠ヶ月
藤井アンナ/10 分/デジタル/2021
「32歳になるまでは、夢の中にいるような状態。」占い師によるとあと数年は眠ったままの女。古い友人の結婚式を眺めながら、目覚める頃の夢をみた。
[藤井アンナ]
日常的に収集している映像、音、写真、文章などの様々な素材を元にドキュメンタリー(風)映画や実験的映画を制作する。MassArt、イメージフォーラム映像研究所の卒業生。
「32歳になるまでは、夢の中にいるような状態。」占い師によるとあと数年は眠ったままの女。古い友人の結婚式を眺めながら、目覚める頃の夢をみた。
[藤井アンナ]
日常的に収集している映像、音、写真、文章などの様々な素材を元にドキュメンタリー(風)映画や実験的映画を制作する。MassArt、イメージフォーラム映像研究所の卒業生。
Aware TYO
ニシノユキコ/9 分/デジタル/2022
私は靴が好きだし、朝食のスクランブルエッグとコーヒーが好きだし、ハリウッド映画が好きだ。
アメリカに居た頃、プロフェッサーに「日本人なんだからアイデンティティを大事にして作品作りなさい」と言われた。
ある日、大統領が「ウィ・ア・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ!」と叫ぶと、世界地図が広がって同盟国が赤く染まった。日本も赤く染まった。日本はアメリカだったらしい。
次の日、理想のハリウッド女優に赤色を塗って、オプティカルプリンターで撮影した。
ジャパニーズ・レッド。東京で迎えた夜の話。
[ニシノユキコ]
大阪芸術大学映像学科で映画制作を学んだ後、MassArt大学院にて実験映像を中心に学ぶ。
「女性」をテーマにした、劇映画を主体とする実験的な作品が多く、自然風景や抽象的な表現で多角的に活動中。
私は靴が好きだし、朝食のスクランブルエッグとコーヒーが好きだし、ハリウッド映画が好きだ。
アメリカに居た頃、プロフェッサーに「日本人なんだからアイデンティティを大事にして作品作りなさい」と言われた。
ある日、大統領が「ウィ・ア・ユナイテッド・ステイツ・オブ・アメリカ!」と叫ぶと、世界地図が広がって同盟国が赤く染まった。日本も赤く染まった。日本はアメリカだったらしい。
次の日、理想のハリウッド女優に赤色を塗って、オプティカルプリンターで撮影した。
ジャパニーズ・レッド。東京で迎えた夜の話。
[ニシノユキコ]
大阪芸術大学映像学科で映画制作を学んだ後、MassArt大学院にて実験映像を中心に学ぶ。
「女性」をテーマにした、劇映画を主体とする実験的な作品が多く、自然風景や抽象的な表現で多角的に活動中。
ここは新宿
小林真楠/8分/デジタル/2019
ロックダウンボーイ
山口健太/10 分/デジタル/2020
ロックダウンされている。隔たりは今に始まったことではない。
すでに、隔たっていたものが顕在化しただけだ。
映画の運動はその隔たりを乗り越えることができるでしょうか。
スクリーンの中に立ち上がる空間とスクリーンを動き回る身体は隔たりを暴くことができるでしょうか。
[山口健太]
映画作家 28歳。 1994年2月関東逓信病院で生をうけ、その後いろいろあり2016年7月大学を中退。 中退後映画にはまり、映画館でアルバイト。アルバイト中にイメージフォーラム映像研究所のチラシを発見。一念発起、門を叩く。 それから今まで映画作家。 グラウンドレベルシネマ所属。
ロックダウンされている。隔たりは今に始まったことではない。
すでに、隔たっていたものが顕在化しただけだ。
映画の運動はその隔たりを乗り越えることができるでしょうか。
スクリーンの中に立ち上がる空間とスクリーンを動き回る身体は隔たりを暴くことができるでしょうか。
[山口健太]
映画作家 28歳。 1994年2月関東逓信病院で生をうけ、その後いろいろあり2016年7月大学を中退。 中退後映画にはまり、映画館でアルバイト。アルバイト中にイメージフォーラム映像研究所のチラシを発見。一念発起、門を叩く。 それから今まで映画作家。 グラウンドレベルシネマ所属。
CH2=CH-
白水浩/5 分/デジタル/2020
あれからこの街には何処に行っても視界に入るモノがある。
透明もしくは半透明でとても薄くてツルツルしているアレだ。
だけどアレはずっとこの世界に存在していた気がする。
あらゆるモノはアレにつつまれている。
世界は実はアレで出来ているかもしれない…
まあボンヤリ観て頂ければ幸いです。
[白水浩]
福岡県出身、埼玉県在住
血液型B型
好きな食べ物はクサいもの
普通運転免許所持 賞罰なし
あれからこの街には何処に行っても視界に入るモノがある。
透明もしくは半透明でとても薄くてツルツルしているアレだ。
だけどアレはずっとこの世界に存在していた気がする。
あらゆるモノはアレにつつまれている。
世界は実はアレで出来ているかもしれない…
まあボンヤリ観て頂ければ幸いです。
[白水浩]
福岡県出身、埼玉県在住
血液型B型
好きな食べ物はクサいもの
普通運転免許所持 賞罰なし
東京サイアノ・ゴースツ
工藤雅/3 分/デジタル/2020
パンデミック以降、密閉された暗室で行われる現像という行為は制限されることが多くなった。その不自由を覚えておくため、あるいは喪失感を慰めるために、あえて野外で現像できる青写真を大量に作り、一コマずつスキャンして映像にした。現れることができなかった像は幽霊となり公園に出現する。出演:小山菜々絵、鈴木妙枝
[工藤雅]
2019年 イメージフォーラム映像研究所 修了
2020年 イメージフォーラムフェスティバル 東アジアエクスペリメンタル・コンペティション 入選
新千歳空港国際アニメーション映画祭 北海道知事賞 受賞
2021年 ザグレブ国際アニメーション映画祭 入選
ASK?映像祭コンペティション 久里洋二賞 受賞
写真新世紀 佳作 入選
パンデミック以降、密閉された暗室で行われる現像という行為は制限されることが多くなった。その不自由を覚えておくため、あるいは喪失感を慰めるために、あえて野外で現像できる青写真を大量に作り、一コマずつスキャンして映像にした。現れることができなかった像は幽霊となり公園に出現する。出演:小山菜々絵、鈴木妙枝
[工藤雅]
2019年 イメージフォーラム映像研究所 修了
2020年 イメージフォーラムフェスティバル 東アジアエクスペリメンタル・コンペティション 入選
新千歳空港国際アニメーション映画祭 北海道知事賞 受賞
2021年 ザグレブ国際アニメーション映画祭 入選
ASK?映像祭コンペティション 久里洋二賞 受賞
写真新世紀 佳作 入選
Time
北山ノエル/4 分/デジタル/2020
時が経ち、消えゆくものと残るもの。
あの丘の上の木は、私が幼い頃からずっとそこにある。
目の前の、しかし全て見えてはいない移ろいを留めたくなり、カメラを回したある午後の記録。
[北山ノエル]
1997年東京生まれ。大学時代にイメージフォーラムの映像研究所に通う。同時期に祖父が生前使っていたCanonのスーパー8カメラを発見し、8mmフィルムでの映像制作を始めた。
時が経ち、消えゆくものと残るもの。
あの丘の上の木は、私が幼い頃からずっとそこにある。
目の前の、しかし全て見えてはいない移ろいを留めたくなり、カメラを回したある午後の記録。
[北山ノエル]
1997年東京生まれ。大学時代にイメージフォーラムの映像研究所に通う。同時期に祖父が生前使っていたCanonのスーパー8カメラを発見し、8mmフィルムでの映像制作を始めた。
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