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GLC1.5 上映会レポート

著者:三上 あいこ(「波と形」作家)より


 グラウンド・レベル・シネマは、2020年に発足した上映団体である。台湾と日本の実験映画作家が集まり、同時刻に現地のスクリーンで作品を上映したのち、台湾とリモートで繋ぎ作家と観客が質疑応答などで交流するのが特徴の上映会である。

 第1回は渋谷・シアターイメージフォーラム3階「寺山修司」にて2020年11月に行われた。満員御礼で入場できない人も多く、カムバック上映として今回のvol.1.5が開催されることになった。上映作品は第1回の上映作品に、追加メンバーの近作を加えた全18作を上映した。

 台湾側の会場スケジュールなどの兼ね合いから、vol.1.5に関しては日本会場のみの上映、トークという形を取った。

 私は縁あって、今回から参加することになった新メンバーである。vol.1.5には昨年6月に制作したアニメーション作品、「波と形」を出品し参加した。

 2021年6月20日土曜日。蒸し暑い日だった。私は渋谷に向かった。

 上映開始は14時。12時に集合し、場内の椅子の設置、作品の音量調整、冷房の調整を行う。傾斜がない会場のため、3~4人で同時に椅子に座り、位置の微調整を繰り返した。受付のお金の準備などをし、開場に備えた。

 開場し、気がつけばすぐに14時の開演時間になった。上映前に代表の白水さんから挨拶があり、無事に上映がスタートした。台湾と日本の作品、合わせて18本の作品を前半と後半に分けて上映した。前回は国ごとの塊にして上映していたが、今回は作品の一つ一つの内容に注目して、国をまたがる順番でプログラムを構成した。

 「波と形」は後半1本目だった。後ろの方の席にそっと座って鑑賞した。

 上映後はトークセッションに入った。まずは作家が前に出て、作品について一言ずつ話した。私は作画の原画を持っていった。

 その後、テーマトークに移った。今回のテーマは「批評」である。この上映会を通じて批評の書き手や話し手と出会い、既存の映画データベースに残りづらい個人制作の実験映画の記録・記憶に残したいという思いが込められたテーマである。

 トーク時間は約50分。積極的にお客さんに意見を求める形をとったが、発言がなかなか出てこない事態となった。

 今考えると、その場でお客さんに批評を求めるのはハードルが高かったのではないか。お客さんが発言しやすいように、上映から一息ついた時間を作ったり、作家が制作の裏話などを少し話してから投げかけるなど、進行や構成で工夫できることがまだまだありそうだ。

 最後に私自身の感想を書く。作品制作というのは基本的に家にこもって一人で制作することが多い。以前まではその後その作品をもって上映会を行ったり、機会があれば映画祭に参加することで、作品を通じてやっと自分以外の他者、社会と接続していくような感覚があった。しかし昨年は感染症の影響でそういったことが出来ていなかったため、スクリーンに映った自分の作品と、観客と自分が一緒の空間にいることがとても久しぶりだった。久しぶりで、しかし今までの様に上映中は緊張していた。上映後に何人かの人に感想を言ってもらえたり、アンケートに書いてもらえたリすることもとても久しぶりで嬉しかった。やっと「波と形」を作った実感を持つことが出来た。

 グラウンドレベルシネマ、次回は9月18日の土曜日です。それぞれがこの日のために作った、できたてほやほやの新作で挑みます。今、生きている痕跡を残そうとする作家たちの作品群をぜひ目撃してください。
 今回寄せられた意見や気づきを活かし、より良い場にしていけるよう準備を進めています。

 1.5にご来場していただいた皆様、本当にどうもありがとうございました。





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