著者:張若涵 / Johan Chang(「風/景 / Scene/ry」作家)より
グラウンド・レベル・シネマが生まれて、一年経った。1回目の上映会は初めてなので、どうなるか予想ができなかった。1回目の上映会に台湾側は作家だけ参加して、上映後日本会場とZOOMで繋ぎ、質疑応答を行った。リラックスした雰囲気で台湾側の作家もすごく楽しめた。「多くの刺激を受けるね。」と上映後皆で話した。
2021年9月の2回目の上映会は台湾側でも日本側と同じく、お客さんを入れて公開予定だったけれど、5月から8月にかけて、コロナの状況が厳しくなったため、9月のイベントも第1回と同じで台湾側は作家だけ参加の、無観客での開催になってしまった。日本側はコロナ禍に負けず、シアターイメージフォーラム3階「寺山修司」でお客さんを入れて行った。
台湾と日本のメンバーは、毎回参加者が少し違うけど、上映会のために、どうにか作家として締め切りまでに頑張ったという空気が強かった。作品の締め切りが近づくと参加作家のテンションが高まっていく感じがした。8月に入ると、上映会の運営のことと新作を作ることを同時に進行していったので、脳の切り替えが追い付かず大変だった。
2021年9月18日土曜、朝早く起きて、日本のメンバーと上映データを確認し、当日配る情報を印刷し、昼前に台湾会場の『VA Hub』に向かった。私と参加者の許さんは早めに到着し、会場準備とZoomテストを行った。2回目だが、緊張する気持ちもあるし、ワクワクした気持ちもある。台湾会場の『VA Hub』は普段上映会をやることは多くないが、設備は完璧。会場のスタッフも映写作業に協力してくれた。
今回、台湾側参加作家のうち2人の作家さんはオンラインで参加した。1人の徐璐さんはカリフォルニアにいた。もう1人の許海文さんはフランスに数か月行っていたので、上映会の日はまだ台湾のホテルで隔離されていた。違う空間にいる作家さんが同時に作品を体験することはコロナ時代ならではの体験だと思った。
12時半頃、作家さん全員がそれぞれ食べ物と飲み物の差し入れを持ってきた。交流会の雰囲気になった。故障気味のフィルム映写機を持ってきた人もいる。知らないうちにそばで皆、映写機を研究していた。意外な風景だった。
そして、上映会が始まった。
2時間半、20本、作品の世界に集中することは幸せな時間だった。上映が終わって、ZOOMで両地の質疑応答を約40分行った。だけど、作家さんも初めて全作品を見たので、上映後何を話したいのか頭を整理する時間が必要な気がする。家に帰ると、参加作家から、その場ですぐに話せなかった感想が次々と送られてきた。やはり上映会は作家のモチベーションに繋がる。作品を作り続けたい気持ちが強くなった。
私個人の感想としては、一年を経て多くの作品、作家さんたちに『成長感』を感じられた。第1回目と第2回目で何か違うかと聞かれれば、日本側作品はコロナ禍という社会状況が作品に及ぼす影響が内面化されたように感じた。自身も運営と創作を同時やる過程の中で刺激を受けた。台湾側の作家さんは知り合いだけど、普段多忙で集まることが実は少ない。国内で自主上映会を立ち上げる雰囲気もなかった。だから、グラウンドレベルシネマという場で会うことが凄く貴重だ。日常生活では仕事に追われる参加者、アーティストとして活躍する参加者、それぞれ心の栄養にもなると思う。
コロナ時代に生まれた団体なので、いつか台湾側も日本の皆さんと実際に会って交流したいと思う。エネルギーを守り、次もよろしくお願いします。(終)
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